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タイプ


スピリッツ(ジン・ウオッカ・ラム)


アクアビット

ジャガイモを原料として糖化・発酵・蒸溜した酒のことをいい、北欧諸国でつくられています。原料にはライ麦も使われます。
主な生産国は、デンマーク、ドイツ、ノルウエーなどです。
蒸溜技術が誕生した際に、錬金術師たちが名付けた「生命の水」を意味するラテン語の「アクアヴィテ」の語源を色濃く残しています。

アラック

ナツメヤシの果実の汁やココヤシの花序からでる樹液、糖蜜、キャッサバ、米などを原料として発酵、蒸溜した酒のことをいい、インドネシア バリ島などの東南アジアから中近東にかけての地域でつくられています。インドネシア産が有名です。

ウオッカ

ジン、テキーラ、ラムと並ぶ4大スピリッツの一つです。
トウモロコシ、小麦、大麦の穀類、ジャガイモなどのイモ類を原料として糖化、発酵、蒸溜し、得られたスピリッツを白樺炭で濾過した蒸溜酒をいいます。スピリッツの中でも最もクセのない風味を有し、まろやかな爽快感を特徴としています。
ウオッカは、ほとんどが無色透明で無臭ですが、中には、フルーツなどの香りを加えたフレーバー・ウオッカもあります。
ウオッカは90%を超えるような非常に高いアルコール分のものもありますが、一般には40~50%のものが多いようです。
ストレートで飲まれるほか、ニュートラルでクセがないことから、カクテルのベースとしても沢山使用されています。
ウオッカは、かっては、ロシアやポーランドなどの東欧諸国のお酒でしたが、フランスなど西欧に広がり、それから、アメリカ、カナダなどにも伝わって、以後、さかんに造られるようになりました。
現在では、ロシア、ポーランド、アメリカ、カナダ、スエーデン、フィンランド、ドイツ、日本など世界の様々な国で造られていますが、アメリカは世界屈指のウオッカ生産国、かつ、消費国です。

オールド・トム・ジン

ロンドン・ジンの中で、甘口のものをいいます。1~2%程度の砂糖を加えることから、僅かに甘く、柔らかな味で、主としてカクテル用として愛用されています。

オランダ・ジン

オランダ産のジン。ジン発祥の地、元祖のジンです。オランダを代表する国民酒です。
大麦麦芽、ライ麦、とうもろこしなどを原料に単式蒸溜機で蒸溜し、この蒸溜液に杜松の実などの草根木皮を加え、再度蒸溜します。
単式蒸溜機を使用することでロンドン・ジンよりも香味が濃厚となり、淡黄色でコクのある味わいとなります。

コルン

様々な穀類を原料としてつくられるドイツの酒のことをいいます。一切の香り付けをしていないのが特徴です。

シュタイン・ヘーガー

ドイツで造られるジンの一種です。ドイツ西部のシュタインハーゲンという町が、この酒の特産地であったことから、このように呼ばれることになったといわれています。
先ず、生のネズの実(杜松の実、約20%の糖質を含有)を醗酵、蒸溜機で蒸溜したスピリッツを造り、もう1つ、とうもろこしと大麦麦芽を原料に醗酵、蒸溜したスピリッツを造ります。この2つをブレンドし、再蒸溜したものがシュタイン・ヘーガーです。
生のネズの実を醗酵させて造ることから香りは非常に穏やかなものとなります。

ジン

ジンは、オランダを代表する国民酒です。
ジンは、穀類を原料とし麦芽や酵素剤を利用して糖化、発酵、蒸溜して得られたスピリッツにジュニパー・ベリーなどの草根木皮を浸して、再度蒸溜した無色透明の酒をいいます。
原料となる穀類には、とうもろこし、大麦、小麦、ライ麦などが使われています。
ジンは、オランダジン、ロンドンジンが有名ですが、現在は、ドイツやアメリカ、日本など様々な国々で造られています。

スロージン

リキュールの「スロージン」の項参照。

テキーラ

テキーラはメキシコ原産の竜舌蘭の一種であるアガベ アスール テキラーナを原料とし、その茎を糖化、発酵、蒸溜したメキシコを代表するスピリッツです。
テキーラという名前は、産地の名(メキシコのシェラ マドレ山脈の北側に位置するハリスコ州 テキーラ村)に由来します。
16世紀の初めにスペイン人が蒸溜技術を持込み、メスカルという蒸溜酒が生れ、メキシコ各地で造られるようになりました。その中でハリスコ州テキーラ村のものが評判になり、その名をとってテキーラと呼ばれるようになりました。
メキシコの国酒といえます。1968年(昭和43年)のメキシコ・オリンピックを契機に世界に知られるようになり、世界の4大スピリッツに数えられるようになりました。
アルコール分は、50~55度。ウオッカは高純度のスピリッツですが、テキーラは雑味成分が多い、不純な美味しさが魅力の南の国のスピリッツです。
テキーラは一般に、無色透明(シルバーテキーラ)ですが、オーク樽で熟成した琥珀色のテキーラ(ゴールドテキーラ)もあります。

ドライ・ジン

甘くないジン。本来は、ロンドン・ジンの中の甘くないジンをいっていましたが、一般には、ロンドン・ジンに限らず、甘くないジンを称しています。

白乾児(パイカル)

中国の華北地方で高粱を原料に造られる蒸溜酒。高粱酒ともいいます。
色は、無色透明。特有の香気を持ち、アルコール分は、60度くらい。

白酒(パイチュウ)

コーリャン、モチ米、ウルチ米、小麦、トウモロコシなどの穀類を原料として中国の麹「曲」を用いて中国でつくられる酒の総称です。中国の伝統的な蒸溜酒で一般的に無色透明なお酒です。
各地の風土、原料、製造方法の違いなどにより、風味や香りも多種多様です。
アルコール度数60%以上のものも珍しくありませんでしたが、最近では50%以下のものも多くなってきています。
茅台(マオタイ)酒、白乾児(パイカル)、汾酒(ふんちゅう)など沢山の種類がありますが、茅台酒は、特に有名です。
なお、中国のお酒は、白酒のほか、紹興酒などの醸造酒である黄酒(ホアンチュウ)、果酒(クアチュウ)、果実の蒸溜酒である白蘭地(パイランディ)など多くの種類があります。

花酒(ハナザケ)

花酒は日本最西端の地、沖縄県の与那国島でつくられる酒です。製造方法は、泡盛と同じです。ただし、酒類のアルコール分が60度にもなるため、日本の酒税法では、原料用アルコールに該当します。泡盛と同じ製造方法のため、原料のタイ米と黒麹菌で米麹がつくられます。

ピンガ

サトウキビの搾り汁を加水せずに混濁したまま発酵・蒸溜してつくられるブラジルの酒です。
ブラジル特産のラムの一種で、ブラジルの国民酒。色は無色か淡黄色です。
ラムよりも重厚で、サトウキビの風味が生きているといわれています。
カシャーサ、カシャッサともいいますが、良質なものは、ピンガといいます。

ブラウン・スピリッツ

ウイスキー、ブランデー、ラムなどの樽貯蔵を行うスピリッツを総称してこのように呼びます。

ホワイト・スピリッツ

ウオッカ、ジン、テキーラなどの樽貯蔵を行わないスピリッツを総称してこのように呼びます。

茅台酒(マオタイシュ)

茅台(マオタイ)酒は、高粱を主原料とする中国貴州省特産の蒸溜酒で、300年くらいの歴史があります。
独特の気候風土の中で長期に渡る貯蔵熟成を経て造られます。
このため、香味はまろやかで、強い芳香があり、飲み干してもなお香りが残るといい、中国随一の美酒といわれています。
毛沢東首席がニクソン大統領を、周恩来首相が日中国交回復の際、田中角栄首相を茅台酒でもてなし、世界的に有名になりました。

メスカル

メキシコの蒸溜酒。竜舌蘭の一種、アガベの樹液を醗酵させた醸造酒(プルケ)を蒸溜したものをいいます。
メスカルのうち、ハリスコ州テキーラ村周辺において生産されたものだけが、テキーラと名乗ることができます。

ラム

ラムはサトウキビの搾り汁を煮つめて、砂糖を結晶させたあとの糖蜜を原料とし、発酵、蒸溜、熟成の工程を経てつくられるスピリッツです。ラムの語源にはいくつかの説がありますが、ラムのことが出てくる最も古い文献に「1651年にスピリッツが生まれた。それを西インド諸島の土着民たちは、ラムバリオン(Rumbullion)といっているが、これは興奮とか騒動とかいう意味である」と記述されており、このラムバリオンを語源とする説が有力なようです。

ロンドン・ジン

できるだけ不純物を除き、香気の基となる草根木皮と一緒に蒸溜したジンです。
主原料は、大麦麦芽、とうもろこしなどの穀物です。
これを連続式蒸溜機にかけて蒸溜し、純度の高いスピリッツを取り出し、草根木皮を加え、再度蒸溜して造られます。ロンドン・ドライ・ジンとも呼ばれます。
イギリスでジンが造られるようになったのは、1689年にオランダのウイリアムⅢ世がイギリスの国王となり、ジンを奨励したことによります。
ロンドン・ジンと呼ばれるのは、ジンの製造工場の殆どがロンドン市内にあったことによるといわれています。
ロンドン・ジンは、オランダ・ジンに比べ、ライトでクセがなく、洗練されたキレのある味わいのジンです。
飲用のほか、ウオッカと並んで、リキュールカクテルのベースとして広く使われています。